NMNという成分をご存じでしょうか。
NMNとは、非常に多くの調査や研究によって様々な効果が報告されている今注目の成分です。
いつまでも若々しくありたい、健康でいたいと思っている方にはぜひ知っておいてもらいたい成分です。
この記事では、NMNという成分の特徴や注意すべき点を、調査研究や論文を基に解説していきます。
NMNとは?
NMNとは、ニコチンアミドモノヌクレオチドと呼ばれる、水溶性ビタミンBの一種であるニコチンアミドから合成される成分のことです。
体内でも生成されますが、年が増していくごとにその生成量は減少していきます。
緑黄色野菜などからも摂取することが可能です。
摂取方法は?
摂取方法について、それぞれのメリットデメリットを踏まえて紹介していきます。
野菜から
→NMNが含まれている食材を意識して食べるだけのため、これといったことをせず、日常の食生活を少し変えるだけで摂取することが出来ます。
しかし、食材から摂取できるNMNの量は極少量のため、あまりお勧めできません。
点滴
→一度に多くのNMNを摂取できるというメリットがあります。
しかし他の摂取方法に比べて高額という点や、現段階の調査では経口投与(口から摂取する方法)でのみ効果が報告されているため、点滴から摂取したときの効果は保証できません。
サプリメント
→時間がかからなく、一日に決められた量摂取するのみのため、簡単に習慣化することができ、続けやすいというメリットがあります。また、現段階において効果が報告されている方法が経口摂取のみのため、他の摂取方法に比べて安全性があります。
しかし近年ではコストを抑えることを目的に、安全性が報告されていないα型を使ったサプリメントが大量に市場に出ているため、購入の際には注意が必要です。
美容液
→NMNを含んだ美容液は点滴やサプリメントに比べて安価というメリットがあります。NMNは希少成分のため、どうしても高価になってしまいます。そのため、長く続けるということを考えた時に、金額は無視できません。
しかし、何度も記載しているように、現段階で効果が報告されているのは経口投与のみのため、効果が期待できるかは定かではありません。
NMNには2種類ある
NMNは正確には2種類あります。
その2種類というのは、α型とβ型です。
本来、ヒトの体内で生成されるNMNはβ型であり、様々な論文や研究において安全性が認められているNMNは全てβ型です。
しかし、コスト削減を目的に化学合成によって製造されたNMNがα型です。α型は本来ヒトの体内で生成されず、現段階で体に与える影響について安全性が認められていません。
そのため、サプリメントなどの購入の際は、使われているNMNが安全が認められているβ型なのか、そうではないα型なのか確認する必要があります。
NMN摂取によって期待できる効果
NMNを摂取することによって期待できる効果は非常に多く報告されています。
NMNが体内に取り入れられてからの過程を踏まえて、期待できる効果について紹介していきます。
NMNを摂取してからの過程
まずNMNは体内に摂取されると、NAD+というビタミンB3に変化します。
NAD+は全ての生き物に存在し、細胞が生きるための重要な活性剤の役割を担います。
そしてNAD+が体内で増えるとサーチュイン遺伝子という、老化をコントロールする遺伝子が活性化されます。
サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも呼ばれていて、普段の活動においては活動はしていませんが、生物が飢餓状態になると活動を開始し、若返りの作用を働かせ生命を維持する働きをします。
>NAD+が7種類存在するサーチュイン遺伝子を全て活性化させる機能があるため、NMNを摂取することによって間接的にサーチュイン遺伝子を活性化させることができます。
サーチュイン遺伝子の活性化によって期待できる予防効果
NMNを摂取してからの過程で、NMNが摂取された後にサーチュイン遺伝子を活性化させることを紹介しました。
サーチュイン遺伝子が活性化することによって期待できる予防効果をいくつか紹介します。
- 認知機能の低下
- 視力低下
- 運動機能障害
- 心血管疾患
- 脂肪肝
- 免疫機能疾患
- 糖尿病
- 腎機能障害
- 肥満
- 睡眠障害
- 細胞の老化
もちろんこれらの症状を完璧に予防できるわけではありません。
しかし、NMNを摂取することによって、これらの症状を予防する効果が期待できます。
ミトコンドリアの保護
ミトコンドリアは細胞の活動に不可欠なATPを作る重要な細胞小器官の一つです。
基礎代謝という言葉は、ミトコンドリアがATPを作る過程で生まれる代謝水を作る能力を表したものです。
そのため、ミトコンドリアが活発に活動することで代謝水を多く作り、基礎代謝が上がるという仕組みがあります。
基礎代謝が上がることで、ダイエットや美容効果、自律神経不全の改善が期待できます。
一日の消費カロリーのうち、約7割が基礎代謝によるエネルギー消費です。
そのためダイエットや体型維持には、食事制限や運動よりも、基礎代謝を上げる方が効率がいいと言えるかもしれません。
NMNには、基礎代謝を上げる上で重要なミトコンドリアを保護する役割があります。
NMNはミトコンドリアを保護することで、間接的に基礎代謝を上げる役割があると考えられます。
テロメアの保護
テロメアとは、細胞核にある染色体の一部で、「命の回数券」とも呼ばれ老化や病気のカギを握ります。
若い染色体には長いテロメアが存在しますが、細胞が分裂を繰り返すごとにテロメアは短くなります。
そして、テロメアはある一定の短さになった時に細胞分裂を止めてしまいます。
細胞分裂が止まることは、細胞の老化を引き起こすことを指します。
つまり、テロメアの減少は細胞分裂を抑制させ、老化に繋がってしまいます。
細胞の老化によって肌のシミの原因になることや、臓器や組織の機能低下を引き起こすことも報告されています。
NMNはテロメアを保護する効果があるため、これらの症状を予防する効果が期待できます。
糖尿病改善の効果
NMNには、糖尿病を改善する効果が報告されています。
あるマウスを使った実験では、NMNの長期投与によって、マウスの加齢に伴う脂肪組織の炎症を抑制し、体重に関係なく全身のインスリン感受性を改善する効果が報告されました。
加齢に伴うNMN生成量の減少、加えてNAD+の生成量減少を考慮すると、この調査報告はインスリンの効き目が悪くなって引き起こされる2型糖尿病に対する治療の、有効な方法に成りうると考えられます。
NAD中間体:NMNおよびNRの生物学と治療の可能性NMNの研究や健康寿命との関係について知りたい方は下の記事をクリックしてみてください。
実際の研究結果
NMNについての実験はとても多く行われています。
ここではNMNについての実験方法とその結果をいくつか紹介していきます。
NMNの安全性は?
2020年1月に慶応義塾大学の研究グループが、ヒトに対するNMNの安全性を示した研究データを発表しました。
〈研究方法〉
40歳から60歳以下の健康な男性10人を対象に、研究期間中同じ方に 100 ㎎、250 ㎎、500 ㎎と異なる量の NMN を経口で各 1 回投与しました。
〈結果〉
すべての用量で NMN の摂取後に、血圧や脈拍などに変化を認めず、肝臓や腎臓などの機能をみる血液・尿検査で も基準値を超える変化は認めませんでした。また、視力などの目の機能、睡眠の状態にも影響 を与えませんでした。
ヒトにおける糖尿病改善の実験
〈研究方法〉
糖尿病予備軍の閉経後女性25名を対象に、NMN補給による代謝機能の影響を確認するために、10週間の無作為化プラセボ対象二重盲検試験を行った。
※プラセボ実験とは、本物の薬と同じ容器で、有効成分が入っていない薬を用いることで、成分の効果を調べる有効な試験の一つです。
〈結果〉
過体重または肥満の糖尿病予備軍女性の筋肉のインスリン感受性、インスリンシグナル伝達、リモデリングを高めることが明らかになりました。
インスリン感受性を改善する効果が報告されているため、2型糖尿病に対する有効な成分であるという期待が高まっています。
高齢者に対する実験の効果
〈研究方法〉
65歳以上の健康な男性を対象にNMN 250mgを6週間または12週間投与するプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。
〈結果〉
結果、重大な悪影響は報告されず、全血中のNAD+およびNAD+関連代謝物の濃度が有意に上昇することが示されましたました。さらに、NMNの投与は、健康な高齢男性において、歩行速度と握力を用いて評価される筋パフォーマンスを部分的に改善しました。
おわりに
いかがでしたか。
今回は希少成分であるNMNの特徴や期待できる効果、根拠となる実験をご紹介しました。
NMNは非常に多くの効果が期待でき、摂取方法も様々です。
また、悪性も報告されていないため、現段階で副作用などを恐れずに利用できるのもメリットの一つです。
「なってから」の治療ではなく、「予防」を大切にしましょう。